米国利上げ実施は景気判断後
先月のFOMCの議事録が公表され、委員の中にはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の修正と、金利動向が具体化される発言があった。テーパリングの終了予想が出始めたころから、利上げ時期の市場の予想が変化するたびに金融市場に著しい変動をもたらしてきている。誘発される不必要な変動を減少させ、出来るだけ早く市場心理を落ち着かせるためには、FRBはFF金利誘導目標を修正し、金利動向を具体化させる必要があるのだ。
米国をはじめ中国、欧州と日本の景気判断
世界全体を総合的に評価すると、世界経済全体の先行きは決して明るいとは言えず、米FRBの金融政策に影響を与えている。欧州では、多くの指標で欧州経済が再び大きな減速を始め、デフレと失業率の高さが経済回復の障害物となっている。中国といえば、本土経済が構造改革の段階にあり、この改革の成果の如何が将来的な分岐路となるだろう。構造問題が解決するまで、中国経済は依然として下降リスクに晒されよう。EUは中国の最大の貿易相手であり、欧州経済のリセッションは中国経済にも確実にマイナス影響を与える。欧州及び中国のほか、日本経済も同様に理想的な状況といえず、財政問題を解決する消費増税が、いったん経済に著しいダメージを与えている。一方、米国経済の方が明らかに好調と言え、利上げはもともと道理にかなった納得のいくものであるはずだが、欧州・中国・日本等のリセッションは米国経済も引きずれる可能性があるため、FRBは世界経済の先行きが好転した後にようやく利上げの実施となるのであろう。
リーマンショックの前であれ後であれ、世界経済の支配者であることは、米国株が近年絶えず最高値を更新していることからも瞭然であろう。経済も問題が表面化
すると、米国はドル安への誘導政策、つまりアメリカはドル札を好きなだけ自由に刷って世界にドルをばらまき他国へ問題を押し付けてきたのであるが、景気が回復してくると、四方八方にばらまかれたそのドル資金が再び米国へ流入し、金融政策で正常に戻ったダメージを相殺していまう。FRBにとって利上げが切迫したものであるかはともかく、今後もアメリカが引き続き世界の金融と経済の秩序を主導することには変わりはない。
2014年10月10日
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