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‘FRB/連邦準備制度理事会’

目標下回るインフレをFRBは懸念

2014-12-01

米FOMC議事録に利上げ時期はまだ明記されていないものの、議事録から三つの重要ポイントを読み取る事ができる。まず第一に、FRBは経済先行きに自信を持っている点。第二に、ある委員が「ConsiderableTime」(相当の期間)というフレーズの削除を提案している点。そして第三に、FRBがデフレ圧力の高まりを懸念している点だ。議事録において、FRBは諸外国経済の弱化が米国経済に影響を及ぼすことは無いとしており、米国経済の先行きに対するFRBの自信に満ちた姿勢が反映されている。少し前に、市場では欧州や日本等のエリアの下振れが米国経済の足かせとなり、FRBの利上げ対応に影響する可能性が懸念されていたが、これらは余計な懸念となったようだ。 議会証言の利用されている言葉に注目 FRBの議事録で「ConsiderableTime」というフレーズを使用してからかなりの期間が経過しており、もしこの先の議会証言で「ConsiderableTime」が消失する事があれば、FRBの政策金利に対する考えに変化が起き、米利上げの可能性が高まるという意味合いとなろう。「ConsiderableTime」の削除を支持する委員の中で、投票権を持つ者は一名しかおらず、もしこの先より多くの投票権を持つ委員が削除を支持した場合、米国が利上げに踏み切る期日が近づいているとみて間違いないだろう。これまでの流れを見ると、金融政策を方向転換する際、FRBはまず先に議会証言における言い回しを修正してきた。この先の言い回しの変化に注意しておく事は、投資家にとって米利上げの行方を理解するヒントとなろう。 世界の低いインフレ率が米国経済政策に与える影響 今回のFOMC議事録では、予測を下回るインフレ率に対するFRBの懸念が示されている。全世界を総合的に見ると、欧州はデフレリスクに直面し、中国はインフレ率が2%に届かず、加えて原油価格も押し下がっている。こういった状況から、米国の物価はFRBの目標水準に達し難くなっている。予測を下回るインフレ率は、消費者の長期的インフレ観測に影響すると見られ、消費行動の重石となろう。米国経済はこれまでずっと国内の消費に依存してきたため、もし米国人の消費意欲が低下でもすると、経済パフォーマンスは否応なく低下する。米国の雇用市場は回復しているものの、まだ物価指数に明らかな上昇圧力は見られず、現段階でFRBの利上げ時期がいつになるのかは明言し難い。 2014年11月22日

米国利上げ実施は景気判断後

2014-10-10

先月のFOMCの議事録が公表され、委員の中にはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の修正と、金利動向が具体化される発言があった。テーパリングの終了予想が出始めたころから、利上げ時期の市場の予想が変化するたびに金融市場に著しい変動をもたらしてきている。誘発される不必要な変動を減少させ、出来るだけ早く市場心理を落ち着かせるためには、FRBはFF金利誘導目標を修正し、金利動向を具体化させる必要があるのだ。 米国をはじめ中国、欧州と日本の景気判断 世界全体を総合的に評価すると、世界経済全体の先行きは決して明るいとは言えず、米FRBの金融政策に影響を与えている。欧州では、多くの指標で欧州経済が再び大きな減速を始め、デフレと失業率の高さが経済回復の障害物となっている。中国といえば、本土経済が構造改革の段階にあり、この改革の成果の如何が将来的な分岐路となるだろう。構造問題が解決するまで、中国経済は依然として下降リスクに晒されよう。EUは中国の最大の貿易相手であり、欧州経済のリセッションは中国経済にも確実にマイナス影響を与える。欧州及び中国のほか、日本経済も同様に理想的な状況といえず、財政問題を解決する消費増税が、いったん経済に著しいダメージを与えている。一方、米国経済の方が明らかに好調と言え、利上げはもともと道理にかなった納得のいくものであるはずだが、欧州・中国・日本等のリセッションは米国経済も引きずれる可能性があるため、FRBは世界経済の先行きが好転した後にようやく利上げの実施となるのであろう。 リーマンショックの前であれ後であれ、世界経済の支配者であることは、米国株が近年絶えず最高値を更新していることからも瞭然であろう。経済も問題が表面化 すると、米国はドル安への誘導政策、つまりアメリカはドル札を好きなだけ自由に刷って世界にドルをばらまき他国へ問題を押し付けてきたのであるが、景気が回復してくると、四方八方にばらまかれたそのドル資金が再び米国へ流入し、金融政策で正常に戻ったダメージを相殺していまう。FRBにとって利上げが切迫したものであるかはともかく、今後もアメリカが引き続き世界の金融と経済の秩序を主導することには変わりはない。 2014年10月10日

米金利政策の先行きが不透明

2014-08-06

市場の予想通り、米FRBは債券購入の規模を更に縮小。縮小規模は毎月100億ドルとなっており、このペースを維持すると債券購入プログラムは10月で終了となる。FOMC(連邦公開市場委員会)後の会見において、FRBは債券購入の終了と政策金利の利上げは同時では無いと改めて表明しており、依然として利上げの行方は今後の景気がどのように推移するかが影響するだろう。今回の会見で採択された方針は前回と大差なく、金利政策においてFRBが過去数カ月間の立場を保持していることが反映されている。議会後の会見内容やイエレンFRB議長の発言によると、FRBは雇用改善および継続的な経済成長の確保を重要な位置付けとしており、現時点で利引上げ時期の決定は最重要視していない。現在の市場予想では、FRBによる利上げは来年中となる見通しだ。 米国債の金利動向 米GDPは1-3月期のGDPは年率換算で前期比2.1%減少したが、4-6月期は4.0%増加となった。総じて上半期の増加幅は2%足らずとなり、米国の経済回復に力強さを感じる事はできないといえよう。この先の米国経済を予測する場合、米国債金利からある程度の手がかりを得られよう。現在の米国債金利は短期は上昇し、長期債で下落となっている。こうした短期・長期で相反する金利の動きは、米国経済の先行きが不透明であることを示している。短期国債金利が上昇すれば、市場が米国経済の短期見通しを良好と見なしているため、政策金利の利上げ時期が早まる可能性がある。しかし長期債金利の下落は、市場が長期見通しを懸念している事が示されているため、現在の回復ペースが継続できるとは限らないだろう。 政策金利変更の時期の発表は ある分析によると、米国の政策金利引上げは、銀行セクターから1兆米ドル近くの預金流出を誘発すると見られている。こういった災難の発生を回避するべく、FRBが利上げに踏み切る前に、米国の規制当局及び銀行は事前に措置を講じて利上げ後の大量の預金流失を防ぐ必要があるだろう。一般的に、FRBは金融政策の大きな変更をする際には、事前にリークする習慣があるため10月以降のFOMC声明において利上げ時期についてより多くの詳細が発表されると見られる。 2014年8月6日

FRBイエレン氏の発言でハイテク関連銘柄が下落

2014-07-17

イエレン米FRB議長は公聴会の声明で、雇用市場の改善速度が速まる場合、フェデラル・ファンド金利(Federal funds rate)の誘導目標を早期に引上げ、引上げスピードも予想より早める可能性を示唆した。 これは米国の早期利上げの可能性が反映されている。 米国が早期利上げを行う可能性について、筆者は意外に感じていない。 なぜならFRBは少し前にすでに2015年の金利予想を引上げており、加えて短期国債でも利回りの上昇が見られ、いずれも米早期利上げの可能性を物語っていた。 米利回りの動きは世界の資金の流れに影響するため、もし早期利上げとなれば、世界のマーケットにインパクトを与えることになろう。 当然、米国が最終的にいつ利上げに踏み切るのか、その判断基準は雇用市場の出来如何である。 もし非農業部門雇用者数の増加が月ベースで20万人超えを維持できれば、米国の早期利上げの可能性はますます高まることになるだろう。 特定銘柄が下落 政策金利に関する議論のほか、イエレン氏は米株式市場にも言及するだけでなく特定銘柄にも言及し、ソーシャルネットワークのフェイスブックやリンクトインなどのソーシャルメディア関連やバイオテクノロジー関連銘柄の評価が高すぎるために、失望時に急落するとの警戒感を示した。 米国FRB議長を勤める以上、イエレン氏の発言内容は注目されるわけであるが、このため上述の関連銘柄に冷や水を浴びせた事が、これらの銘柄が先細りする可能性を意味するかどうか、投資家にとっては熟考の価値があろう。 中国本土のIT関連銘柄 1996年の記憶を振り返ってみると、元FRB議長のグリーンスパン氏は「根拠無き熱狂」という言葉で当時の米国株を形容している。米国株は2000年までのITバブルの崩壊を経てようやく真の相場を取り戻したと言えるものの、彼の発言は多くの投資家へ株式市場の評価に対する注意を喚起した。 米国のソーシャルメディアの評価が高すぎるとして、それでは中国のIT関連銘柄の評価ははたしてどうだろうか? 中国本土のソーシャルメディア市場は国外に開放しておらず、競合相手が少ない過保護の環境であることから、ソーシャルメディアのプラットフォームを経営する企業は一般的に割高の評価を享受できている。 トップ銘柄の一つであるテンセント(00700)を例に挙げると、PER(株価収益率)は長期にわたり30~50倍に達している。市場環境が異なるため、イエレン氏の発言が中国本土のIT関連銘柄に大いな影響を与えるとは限らない。 しかし、もし米国のIT銘柄がイエレン氏の発言によって明らかに下落した場合、投資雰囲気の冷え込みへ影響し、中国本土のIT関連銘柄も短期で圧力を受けるであろう。 2014年7月17日

米利上げ時期は前倒しも

2014-06-25

米FRBは18日にFOMCを終え、資産購入プラグラムの規模を再度100億ドル縮小すると発表した。縮小ペースの推測から、FRBは今秋にも資産購入プログラムを終了する見込みだ。将来的に、マーケットの焦点は利上げ時期の確定へとシフトするだろう。記者会見やFOMC後の声明において、イエレン議長も利上げ時期について明示しておらず、いずれも、債券の購入プログラム終了後も金融緩和を一定期間継続する予定であると繰り返し説明している。現在、マーケットの大半の見解ではFRBが利上げ予定をやや遅らせるとの予想しているが、これに対し筆者は反対の見方がある。なぜなら、FRBが2015年における政策金利目標を上方修正しているためだ。FRBでは2015年末のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を1.13%としており、もし当局が利上げ時期を遅らせるつもりがあるならば、このような金利誘導目標の上方修正をする必要などないだろう。それゆえに、FRBが利上げ時期を遅らせる可能性については、マーケットの一方的な願望であると言えそうだ。 プライマリー・ディーラーPrimary Dealer FRBが金利誘導目標を引き上げた後には、その米国債プライマリー・ディーラー(Primary Dealer;債券取引商)が米金利予想を追随するか否かが注目されている。プライマリー・ディーラーは2015年の米金利予想を0.75%としており、この数字はFRBの最新の予測よりも明らかに低い。政府目標とかけ離れた事態を回避するため、プライマリー・ディーラーが金利予想を引き上げる可能性は非常に高い。ひとたび引き上げとなれば、米国債利回りが確実に上昇し、世界の株式市場がダメージを被る事になろう。 米国雇用統計Current Employment Statistics 米利上げ時期は、雇用市場の如何によって調整され、過去数カ月にわたり雇用市場は改善を続けており、非農業部門雇用者数では4カ月連続で20万人を上回っている。今後も非農業部門雇用者数が毎月平均20万人以上の増加を維持しさえすれば、来年中に利上げの可能性があろう。一方、米国が予想よりも早く利引上げに踏み切る可能性があるものの、利上げ幅はさほど大きくはならず、なぜなら、米国にはまだ大量の長期失業者や不完全雇用者が存在するため、現在の雇用市場の回復速度から推測すると、長期失業や不完全雇用の問題を解決するには、少なくともまた数年かかると見られ、現在の米国では利上げ幅を引上げる条件をクリアできていないと言えよう。 2014年6月25日

オイルショックの再来か-世界の株価為替先物チャート

2014-06-23

(BRENT ブレント原油) 市場更新:原油の生産及び輸出は深刻な影響を与えるイラク内戦が瞬く間に原油生産国に広がり、世界の供給にダメージが及んでいる。ブレント原油価格がじわじわ上昇し114ドル台の高値圏に。テクニカル分析上、今年に入ってから何度も110ドル付近でレジスタンスがあったが、今回は前回の高値を突破し、さらなる上昇トレンドを確立。この先イラク情勢がエスカレートすれば、パレスチナの問題が解決していない中東のその他の国々を巻き込んだ宗教・民族紛争が勃発し、石油の輸出停止が懸念される。結果、原油価格が上昇を続け、最悪オイルショックが世界経済へマイナス影響を与えるであろう。 (SPX スタンダード&プアーズ500指数) 市場更新:引き続き債券買い入れ額の毎月100億ドル縮小をFOMC(連邦公開市場委員会)は決定。同時に米国経済が回復中であるとし、低金利環境を長期で維持すると発表。市場では早期利上げへの懸念が緩和され、米国株は先週の小幅下落の後に反発、小型銘柄が好調に。S&P500指数は再び1,956まで上昇し最高値更新。しかし、まだ出来高不振のため要注意である。RSI(相対力指数)ではトレンドの弱化が見られ、今後頭打ちし反落すると見られる。 (SSEC 上海総合指数) 市場更新:約5カ月の期間を隔て、新規株式公開(IPO)の再開となる。7銘柄が続々と新規上場となるが、市場全体の資金面にとっては既存株の希薄化による下押し圧力と成る。中国人民銀行(中央銀行)による量的緩和策が上海総合指数を刺激し、移動平均線をいくつも上方突破するが長続きせず、IPO再開の下押し圧力から2,050ポイント付近まで下落した。最近では李克強首相が訪英し、貿易協定や、中国人民元と英ポンドの直接取引の合意をとりつけた。人民元国際化の加速によって、長期にわたり中国資本市場の開放にとってプラスの影響をもたらすだろう。 2014年6月20日

下半期は慎重な見方

2014-06-18

2014年もはやくも半分が過ぎようとしており過去5カ月あまりを振り返ってみると、香港株はほぼ横ばいでハンセン指数は大体21,000~23,000の間を推移している。株式市場では、もともと有望銘柄であったIT関連やカジノ関連銘柄が投資家から切捨てられ、弱含みが続いていた本土銀行銘柄や従来型産業銘柄に明らかな反発が見られる。下半期を間近に控え、香港株式市場の下半期の動きを予測してみよう。 香港株値動きの要素の中で、最も焦点となるのはやはり中国要因であろう。直近の中国政府は頻繁に政策の微調整を行い、中国経済が直面する問題の緩和を図っているが、その効果が現れるまでは経過観察が必要だ。もし今後の指標でも中国経済の下振れリスクが示される場合、中国・香港の株式市場がこの先突出したパフォーマンスを見せる可能性は低い。しかし、これは決して両エリアの株式市場が暴落する可能性を表しているわけではない。なぜなら中国本土で景気低迷が継続するときには、しばしば中国政府がより多くの経済安定化措置を打ち出す観測が市場に広がるため、この期待感が株式市場にサポートをもたらす可能性があるのだ。 中国のほか、香港株にとっては米国の要因も重要となる。予定通り、米FRB(連邦準備理事会)による資産購入プログラムは第4四半期に終了となるが、終了後は米国がいつ利上げに踏み切るかが市場の新たな焦点となろう。米労働市場では明らかな回復が続いており、非農業部門の就業者数は4カ月連続で20万人以上の増加となった。現状維持となれば、FRBが来年の第2四半期に利上げを行うであろう。米利上げ時期が明確となれば、香港の株式市場および世界の株式市場では、米利上げ懸念による調整基調となる可能性が浮上してくる。 最後に香港の要因だが、小売市場の減速が香港経済を押し下げており、失業率が上昇に転じると見られる。このほか、政治的紛争からくる社会的混乱も香港の株式投資に不確定要因を添えている。直近の様子では、中国本土と香港の人々との対立はますます激しさを増しており、悲観的情緒が株式市場を押し下げる可能性もある。 以上の要因は大部分が予測性に欠けるため、香港の株式市場は下半期も引き続き「見歩行歩(その都度判断を見直す)」といった慎重な動きになると予想。 2014年6月18日

TENGARD香港IFA(テンガード)の2014年1月~5月までの運用成績

2014-06-12

オフショア投信で長期投資をされているお客様各位。 日頃より香港IFAのTENGARD(テンガード)をご愛顧頂き誠にありがとうございます。 皆様いかがお過ごしですか。 香港は億万長者の割合が世界一であることが分かりました。11日づけ香港各紙によると、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が発表した世界の富裕層レポートにおいて、香港で不動産は含まない1億米ドル以上の資産を有する世帯は2012年の323世帯から昨年は417世帯に増加し、世界ランキングで8位となったたもの、10万世帯を基準とすると16.8世帯となり全世帯数に占める割合は世界一となりました。2位以下は順にスイス、オーストリア、シンガポールなったようです。 まず、有名投資家が在籍する弊社Hongkong IFAのTENGARD(テンガード)の2009年1月1日から今年2014年6月6日までのオフショアでの投信(海外オフショア・ファンド)の運用成績を公開いたします。 オフショアファンド積み立て投信 A – 積極型(AGGRESSIVE) 73.29% B – 成長型(GROWTH) 50.44% C – 平衡型(BALANCED) 44.14% オフショアファンド一括払い投信 A – 積極型(AGGRESSIVE) 202.81% B – 成長型(GROWTH) 119.11% C – 平衡型(BALANCED) 94.59% また、独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)のTENGARD(テンガード)の本年度1月1日から5月30日までのオフショア投信の運用成績を公開いたします。スタンダードライフの積立投資やアジアスの積立投資、フレンズプロビデントの積立投資、一括投資、ハンサードの積立投資と一括投資をそれぞれ個別に公開いたします。 Standard life Regular Saving スタンダードライフ積立投信 A -アグレッシブ型 [2.99%]0 B -グロース型 [2.19%] C -バランス型 [1.46%] 今年はじめから5月30日までの運用成績 Standard life Lump Sum スタンダードライフ一括投信 A -グロース型 [1.48%] B -バランス型 [1.46%] C -アグレッシブ型…続きを読む

IT関連銘柄が反発-世界の株価為替先物チャート

2014-06-06

(COMPQ ナスダック総合指数) 市場更新:最近米国が公表した経済指標によると、第1四半期の経済成長は冬の悪天候による影響を受けたものの、消費や製造業でも緩やかな拡大が見られた。同時に、米FRBの経済レポートでは不動産業で今な変動があると示しており、市場では現在の金融政策がしばらく続くと予想されている。米国株が続伸となり、今年大幅下落となっていたIT関連銘柄もある程度反発している。ナスダック指数は4,200台に乗り、年明けからは1.8%の小幅増となっている。反発後の動きに要注意。投資家情緒は今なお慎重で、出来高を伸ばせていない。今後も薄商いが続けば、間もなく発表となる雇用統計がこの先の動きを決定付ける肝となる。 (NIKK日経株価指数) 市場更新:アベノミクスの2本の矢である財政と金融政策による景気刺激が功を奏し、日本は長年のデフレを脱し、最新のインフレ率は消費増税効果も合わさり3.2%増へ、23年来の最高値を更新した。第3の矢である「成長戦略」も間もなく発表となり、日本経済を更に刺激すると見られる。日経平均は下降トレンドを上方突破し小幅反発、15,000ポイント台に。短期トレンドは円相場の影響がやや大きく、円高傾向となれば株式市場の重石となろう。 (HSI 香港ハンセン指数) 市場更新:中国政府は、一部銀行の預金準備率の引下げなどといった“微刺激”政策の実施を開始。中国・香港の両地の株式市場を刺激し、香港ハンセン指数は前回の高値を突破したが、その後上昇力を欠き、調整が見られ23,000付近へ。最近では政府が自由行(中国本土から香港への観光目的による個人旅行)の削減を検討している影響を受け、小売や不動産関連の銘柄が下落。W杯開催が近づき、宝くじ関連プレートにサポートが見られ、上昇幅が抜きん出ている。しかしマーケットにとってみれば、W杯によって一部の“賭博”資金が集まっている可能性があるため、ハンセン指数は頭打ちとなり下落する可能性がある。 2014年6月6日

米失業率による利上げは中港経済にとって悪材料

2014-05-05

4月の米国失業率は6.3%に低下、非農業部門就業者数(Nonfarm payroll employment)は前月比約28.8万人増と大幅な上昇となり、いずれの指標も市場予想を上回った。多くの人々が職を得たものの、長期失業者数も多い。一般的に、労働市場から長期に渡り職を得られない人はますます就業は難しいと言われており、米国は指標に反映しきれていない失業問題を抱えている可能性がある。今年初め、米国は深刻な寒波に見舞われ、経済活動に一定の影響を及ぼした。天候が安定するにつれ、経済活動も正常に回復したため、4月の非農業部門就業者数の大幅増の要因になったと見られる。指数が天候の影響を受けたかどうかに関わらず、28万人以上という雇用者数の増加は間違いなくインパクトとのある数値と言える。米雇用統計の発表後、米国会が利上げを早めるか否に市場の注目が集まっている。 イエレン氏が何度も表明しているように、米FRBは単に失業率データ如何で利上げ時期を決定する事はなく、長期失業の状況や、不完全雇用率、インフレ率などの局面からも要因を考慮するとしている。多くの米国人が長期にわたり職を得られず雇用市場から離脱しているため、失業率が6.3%に低下したものの、早期利上げに踏み切るにはまだ後押しが足りないと見られる。しかし、もし今後も非農業部門雇用者数が毎月20万人以上の増加となれば、FRBが早期利上げに踏み切る可能性が出てくるはずだ。なぜなら、徐々に多くの人々が職を得られるようになった際、個人の消費意欲が増加し、物価上昇圧力が生まれてくる。そこで物価の安定を確保するべく、FRBは早めの利上げに迫られるであろう。 香港ドルは米ドルペッグ制:リンクド為替相場制度による制限を受けるため、ひとたび米国が早期利上げとなれば、香港も追随して利上げとなる可能性が極めて高く、資産価値は否応無く圧力を受けよう。また香港だけではなく、中国本土も同様に圧力を受けることになる。ここ数カ月、人民元は続落傾向にあり、中国から資本が流出しつつある事が反映されている。もし米国の利上げ圧力が増せば、より多くの資本が中国本土から流出するであろう。中国本土の不動産市場ではすでに調整が見られ、加えて中国人民銀行(中央銀行)が再び金融引締め策を実施していることから、より多くの資金流出が上述の状況を悪化させている。中国・香港にとって、米国の早期利上げは確実に悪材料なのだ。 2014年5月5日

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