‘Weak Yen/円安’
選挙勝利で日はまた昇り光は刺すのか
日本では自公連立政権が衆院選に勝利し、安倍氏は選挙結果から「アベノミクス」が有権者からの一定の支持を得たと解釈している。しかし、投票率が第二次世界戦争後の最低水準だったことから、多くの日本人が「アベノミクス」に対し実際には慎重な態度であると見られる。事実上、野党が経済問題の解決策をテーブルにあげれず代替案が無い状況であったため、投票に足を運ぶ気がおこらなかった有権者は「アベノミクス」を引き続き黙認するしか無かったと言えよう。 「アベノミクス」を推進すれば光が刺すのか 自公連立政権が衆院選で勝利を収め、今後安倍氏が引き続き首相を続投すると見られるものの、市場では「アベノミクス」に対し、日本経済に長期的なマイナス局面をもたらす可能性への懸念が示されている。「アベノミクス」の開始後、大幅に円安が進み、円安は日本の輸出価格競争力を強める後押しとなるものの、、日本国民や日本企業にとっての世界での購買力低下を招くこととなった。 また、日本は今では債務が重くのしかかる借金大国であり、政府債務規模はGDPの2倍半に近づいている。財政改善のため、安倍政権は今年の比較的早い時期に消費増税に踏み切り、増収を図ったのだか、日本の消費市場はすぐさま悪化したと一般的にみられ経済全体にマイナス影響をあたえると考え先延ばしすることになった。もし安倍氏が今後も変わらぬバラマキの「アベノミクス」を推進すれば、日本経済の先行きに光が刺すのはより難しいといえよう。 これまで日本経済を悩ませてきたのは、社会主義国家と同様の構造問題であり、経済を再び正しい軌道に戻すには、日本政府が積極的に構造改革を進めるほかない。しかし、構造改革の推進は決して容易ではない。日本の政治と経済界の間には複雑に入り組んだ利害関係が存在しているため、根本的に政府は改革推進に対し及び腰となる。連立政権が選挙に勝利したものの、投票率が戦後最低であったことから、安倍氏が「アベノミクス」の継続でより一層うまくいくか、はたまた有権者の支持圧力を受けるかは、言うまでもなく彼が本当の構造改革を推進できるか否かにかかっている。 2014年12月15日
日欧の先行きに光は見えず
日本経済はここ2期連続でマイナスを記録。テクニカル分析上、日本経済はリセッションに入っており、4月の消費税増税が経済下落の元凶の一つとなっている。近年、安倍首相は脱デフレのため円安及び消費税増税を行っているが、物価が上昇するばかりで経済を下支えできておらず、その要因はこれらの政策が日本経済の根本的に解決につながっていない事にある。 また、円安と増税がもたらすインフレは好ましいとは言えず、本当の意味で経済利益となるインフレとは国民の消費意欲の向上によって触発されるべきであろう。日本経済のリセッションはアベノミクスに打撃を与えており、退勢を挽回する為には、安倍首相は消費税増税のタイミングを延期せざるをえない。もし日本経済がこの先1、2四半期で好転の気配を得られ無ければ、アベノミクスは完全に崩壊することになろう。アベノミクス及び経済先行きを守る為に、安倍首相はこの先更なる量的緩和を日銀に求める可能性もあろう。 欧州のソブリン債 日本経済が混乱する一方で、欧州の情況もまた思わしくなく、多くの国々がリセッションに陥っている。極度に財政に支援を求める事になれば、欧州の国々は欧州内銀行によってソブリン債を売却される脅威に直面する可能性がある。バーゼル協定によって、銀行は単一の相手に25%以上の投資を行えない事になっている。もし欧州の管理当局が投資上限を10%と設定した場合、欧州域内の銀行はすぐさまソブリン債の保有高を引き下げると見られ、その規模は1.3兆ユーロ以上、うち約3千億ユーロがドイツのソブリン債となる。大挙してソブリン債が投げ売りされる事になれば、債券の金利を押し上げ、とうに弱りきった欧州経済に新たな打撃を与えることになろう。 ロシアのルーブル安 欧州域内の銀行がソブリン債を売却するか否かに加えて、ロシアの経済状態も見落とさないよう注意したい。ロシアの主に石油販売で収支を維持しているため、国際的な原油価格の上昇及び下落がロシアの財政一定の圧力となる。このほか、今年は大幅なルーブル安となっており、貨幣価値の下落により投資家からのルーブル建て資産すべてが信頼を損ない、資産価値はダメージを受けている。欧州と隣り合うロシアで、ひとたび金融危機が勃発すれば、欧州が真っ先に影響を被ることになる。 2014年11月20日
金価格と日本円が全面安-世界の株価為替先物チャート
(XJY 日本円) 2014年度上半期(4〜9月)の経常収支が2兆239億円(速報値)と集計され、現在の基準で比較可能な1895年以降の上半期の黒字では最小値であると日本の財務省が11日発表した。 円安で火力発電用燃料の輸入額が増加し、貿易収支の赤字が4兆3千974億円に達し、経常黒字が1兆円近く大幅に減少した。 昨日、日本円が一時、1ドル=116円台まで下げる、7年ぶりに最も低い水準まで下落している。米国利上げ懸念と日本の衆院解散と早期の総選挙実施の予想が重なったためである。 11日ニューヨーク外国為替市場で結局前日比0.8%安の115.76円となり、一時116.10円まで下落し、2007年10月以来7年1ヶ月ぶりに最も低い水準となった。ユーロに対しても1.2%下落し、144.41円を記録している。移動平均性は下落傾向を形成しており、短期で円安が続くと予想されている。 金相場上昇の力不足 (GOLD 金価格) 一部では、金価格がオンス当たり1000ドルを下回ることもあるとの見通しが出てきている。金価格がさらに下落してオンス当たり1000ドルを下回る場合は、ファイナンシャルタイムズでの分析では金鉱会社の統廃合や金鉱の閉鎖などが問題になるだろうと伝えた。米国が量的緩和終了を受けて市場のリスク回避の心理状態が弱まるため、短期の反発は難しくなる 米国株は急反発 (INDUNYダウ工業株30種) 11日特に材料がなくとも、企業の好調を背景に高値を更新していった。S&P500指数は1.42ポイント(0.1%)の上げの2039.68、ダウ•ジョーンズ指数は1.16ポイント(0.1%未満)が上昇して1万7614.90で取引を終え記録を更新した。10月の強い下方圧力を抜け急速に下落幅を戻し、この長期上昇トレンドが続くであろう。 2014年11月12日
日本の追加緩和で更に複雑化
日銀が突然の追加金融緩和を発表し、世界の主要株式市場が急騰した。株式市場の反応から、市場全体で日銀の追加緩和を歓迎していると言えよう。しかし、中長期的な投資を考慮してみれば、今回の日銀の動きは金融市場を不安定にさせ、投資環境を更に複雑化させたと言わざるを得ない。最近日本及び欧州の中央銀行はいずれも更なる金融政策に勤しみ、両エリアの金融政策の方向性は明らかに米FRBと相反している。更なるリターンを求めるため、日欧の中央銀行が増発する資金の流れは米国へ向かう可能性が極めて高い。資金が日欧経済に留まりたがらない以上、日欧の中央銀行の措置は成果を得難いだろう。 GDPの2倍に達した債務が暴発するリスク 円安の恩恵を受けて日経平均が急上昇しているものの、日本株が上昇トレンドを継続できるか否かはまだ要観察である。円安化によって日本の競争力を強化できるものの、円安傾向が続けば、投資家が先々日本円資産の保有高を減らす可能性がある。日本の現在の債務総額はGDPの2倍以上となっており、ひとたび円安が投資家を触発して日本円資産の保有高を引き下げることになれば、日本に債務危機が勃発する可能性が高まる。また日本の債務問題が市場の焦点となれば、たとえ円安が更に進もうとも、日本株の上昇は難しくなる。債務危機の勃発を回避するためにも、日銀が円安化の制御不能に陥る事はないと言えよう。 追加緩和で円安で恩恵を受ける銘柄 今回の円安化は投資家による「恩恵を受ける銘柄の物色」を刺激し、食品、自動車、航空などの日本に関連する多くのセクターで株価が軒並み高騰している。円安の恩恵を受けられる関連銘柄は大きく次の3種類に分けられる。第1に、日本が輸入している原材料や部品、製品の関連銘柄。第2に、日本以外の国からの収益が日本円で計上される銘柄。そして第3に、日本円の債券関連銘柄だ。注意すべきは、円安はあくまで上述の3種類の銘柄を上昇させる要因の一つに止まる点だ。このため、もしこの他に突出したファンダメンタルが見当たらない場合、円安による株価上昇後、利食い売りによる株価下落の発生に要注意だ。 2014年11月5日
IT関連銘柄に投売りの動き-世界の株価為替先物チャート
(COMPQ ナスダック総合指数) 市場更新:4月4日発表の米雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回り、経済回復に対する楽観すぎたことが浮き彫りとなった。この日IT関連銘柄の大規模な投売りが米国の株式市場に大幅下落を招き、ナスダック指数は2.6%下落。翌週明けも米国株は続落、ナスダック指数は100日移動平均線を割り込んだ。9日水曜日には米FRBがFOMC議事録を発表し、政策金利引き上げ時期が予想より早まる事は無いとした。これを受けて市場の悲観的観測が緩和され、株式市場を下支えて反発が始まっている。 (USDJPY 日本円) 市場更新:日銀金融政策決定会合で現行の金融緩和策の維持が決定され、日銀の黒田総裁は日本経済成長に対する楽観的な見通しを維持し、消費税引上げが経済に与える影響は限定的であるとし、このため追加緩和は行わないとしている。一方、ウクライナ問題がまたもや深刻化し、投資家達によるリスクオフの円買いが加速。円相場を更に刺激し、ドル/円相場はここ3週間の最低水準へと大幅に下落した。 (HSI香港ハンセン指数) 市場更新:香港ハンセン指数は今週明け米国株の下落が足かせに。IT関連銘柄も同様に投げ売りの動きが見られ、小幅に下落し22,500ポイントを割り込んだ。その後、中国政府の景気刺激策を受け、中国本土の銀行銘柄が相場を下支えし上昇、火曜日に22,600ポイント台を回復。また、米FRBによるFOMC議事録の発表で市場の悲観的観測が緩和されたことを受け、香港のIT関連銘柄も反発を始め、指数をさらに押し上げ23,000ポイントの水準に近づいている。 2014年4月11日
日本のGDPは予想下回り量的金融緩和へ
2月17日、日本内閣府は2013年のGDP成長率を発表。昨年の第4四半期のGDPは0.3%増、年間では1%増となり、予想されていた2.8%を大きく下回りました。“アベノミクス”が全体的に推し進められる中、日本のGDPが未だにプラスの刺激を得られない事から、一連の量的金融緩和の効果を疑問視せざるをえない状況となっています。 円安化の面では、アベノミクスは確かに重要な役割を果たし、2013年の日本円は年間で累計18%安となりました。理論上、円安化が日本の輸出を伸ばし、これによって経済を刺激できるはずですが、このロジックは今のところ全く功を奏していないようです。2013年12月の輸出は15.3%増で、前年同時期の18.4%を下回る水準となっており、この輸出鈍化は主に周辺国の需要減退よるもので、円安化による日本の商品価格の優位性は、輸出総額を押し上げるまでには至りませんでした。これもまた、GDP成長の足かせとなっている主な要因です。最近では諸外国の需要が次第に反発を見せていることから、将来的に円安化の優位性が反映され、輸出拡大を刺激する可能性が期待されます。 同じくして、円安化は副作用ももたらしました。まず、輸出が鈍化する中、割高な外貨の為替レートが輸入需要を抑圧し、昨年12月の輸入総額は予想を下回りました。そして、原発が停止している日本はエネルギー源のほとんどを輸入に頼っているため、エネルギー価格が押し上げられ、国内の生産コストが上昇し、企業の利益を更に圧迫、そして同時に商品価格の上昇も招いています。一連の連鎖反応を経て、国内需要も抑圧されています。本来は今年4月の消費税が引き上げ前に、かけこみ需要による景気刺激が見込めると予想されていましたが、実際のところ最新の小売業及び世帯消費支出の伸びはいずれも思わしくありません。このため、日本経済は円安化によって内需と外需が同時に弱化するという二重の圧力を受けることになりました。 そして2月18日、日銀は決議発表において、政策金利を0.1%に据え置くとし、また国債買い入れについては現状の年間60兆~70兆円規模の資金供給を維持すると発表しました。量的金融緩和においては、日銀は経済回復の鈍化を理由に更なる緩和政策を打ち出すとはしてはいませんが、本来は今年3月までとしていた成長支援融資を1年に延期し、緩和規模拡大を決定しました。この発表の影響を受け、本年不調となっている日本の株式市場は1日で大幅に3%上昇しました。今年に入ってから日本の株式市場は累計10%下落しており、経済指標が続けざまに下落する状況下で、日本に対する更なる金融緩和政策への予測が次第に加熱しています。このような圧力下で、日銀が金融政策をある程度てこ入れする可能性は大いにあるでしょう。 2014年2月26日
エントリー前に香港ドル及び日本円の動きを見極める
資金流出の波が足かせとなって、ハンセン指数は2014年に入ってから下落を続けており、「ハンセン指数のサポートラインはどこなのか?」と質問される事も有る。香港の株式市場からは資金離脱により下落しており、その主な要因は米国の量的緩和縮小ペース加速への懸念だ。それゆえ、香港株式市場の下落が継続するか否かのキーポイントは米FRBの政策次第と見られる。しかし、この状況下で香港株式市場のサポートラインがどこに位置するのかを予測するのは容易では無い。数年前まで、これまでのテクニカル分析やファンダメンタル分析の評価方法で香港株式市場のサポートラインを予測できたが、近年では株式市場のトレンドが量的緩和策によって捻じ曲げられるにつれ、これらは香港株式市場に影響を与える要因として、多くの場合で資本の流れにかなわなくなってきた。こうなってくると、香港株式市場の底打ちを予測するには、むしろ香港ドル及び日本円の為替動向を観察する方が、手がかりを見つけ出せる可能性が高い。 事実上、いかなる株式市場であっても上昇・下落の要因を突き詰めれば全てが資金動向によるものだ。もし流入する資金が無ければ、株式市場が安くなろうが上昇は難しくなる。香港株式市場に焦点を当て、香港ドル相場の変動に着目してみよう。近頃、香港ドルは対米ドルで7.76を上回っており、米量的緩和縮小懸念に加えて、春節(旧正月)休暇も香港ドル相場の弱化を引き起こすもう一つの要因となっている。もし特別な事が起こらず、正常な状況であれば、香港ドル相場は春節以降に回復するだろう。万一香港ドル相場が春節以降も弱含みを継続した場合、香港の株式市場へまだ資金が戻っていない事を意味するため、投資家達は注意が必要だ。 日本円は主要なキャリートレードの通貨である。世界の金融市場が深刻なダメージを受ける際、キャリートレードの巻き戻しが影響し、通常、円高になる。最近の市場の下落において、日本円は1ドル104円から102円の水準へとなっている。円高傾向が止まりさえすれば、世界の金融市場のトレンドが回復し、ひいては反発し上昇傾向へ転じる見込みも出てくる。 資金が新興国市場を逃避する期間が短期となるか長期となるか、現段階で判断するのは難しい。投資リスクを減らすべく、新たに香港ドルが強含みとなるか、あるいは新たに円安傾向となってから市場にエントリーしても差し支えないだろう。 2014年1月29日
夜明けを迎えつつあるインド経済改革
(USD/JPY 日本円) 市場更新:日本では11月の経常収支が発表され、過去最大となる5928億円の貿易赤字となり、市場予測を遥かに上回った。激しい円安化が貿易統計に大幅な赤字を招いた主な要因となり、日本政府は急激な円安化を警戒しつつも、今後も長期にわたり円安に進むと見られる。 (SETI タイSET指数) 市場更新:タイの反政府デモが1カ月近く続いている。反対派は、インラック現首相を退陣に追い込むべく、首都バンコク封鎖を掲げた大規模な抗議活動を始めている。デモ活動の影響を受けてタイの株式市場は一度暴落したものの、先週から明らかな反発が見られている。株式市場ではすでに買い支えが出始めている可能性があり、今後のタイの株式市場は短期反発と予想。 (インド SENSEX指数) 市場更新:インド政府が発表した12月の消費者物価指数(CPI)の年間上昇率が8月以来の6.16%に低下、インド準備銀行(中央銀行)の新総裁ラグラム・ラジャン氏が少し前に政策金利を引上げた効果が反映されている。株式市場ではラジャン氏の就任から継続して上昇トレンドとなっており、新頭取がインドの経済問題を改善してくれると言う市場の期待が反映されていると見られる。 2014年1月17日