国家隊強化も中国A株低迷を脱せずか
最近、中国本土では保険資金での投資上限をさらに引き上げるとしており、その目的は主にA株市場の下落傾向を下支えする狙いである可能性が高い。近年、A株市場に“国家隊”(金融の国家代表チームと呼ばれるセントラル・フイジン・インベストメント・リミテッド[中央匯金投資有限責任公司]の資本)による資金流入が時折見られ、上限引上げも今回が初めてではない。中国政府はA株市場を懸命に後押ししているものの、A株の下落傾向は一向に変わる気配が無い。一体なぜなのだろうか?
毎回“国家隊”による資金注入が取り沙汰されると、多くの場合で株式市場はわずかに上向くのだか、上昇傾向はすぐさま続かなくなってしまう。その要因として“国家隊”による資金注入と、長期投資家による追随の動きとの関連性が問題が考えられる。中国本土の株式市場の低迷はすこぶる長い時間が経過してしまった。低迷の初期段階において、投資家たちは通常株式市場に早期に底打ち反発が見られることを期待していたが、低迷期間が長引くに従い、投資家たちは市場の先行きに対する自信をすり減らし、株式投資にもう魅力が感じられないという段階になってからでは、たとえ政府がひたすら刺激策を打ち出そうとも、A株はすでで挽回できないほとの衰弱を積み重ねてしまったのだ。言うまでも無いことだが、投資家の自信を取り戻すのは口で言うほど容易な事ではないため、A株の低迷状態は今後も続くと思われる。
このほか、中国政府が強化している汚職撲滅への取り組みもA株のパフォーマンスに影響を与えている。新指導者の就任後、次から次へと汚職撲滅運動が行われており、投資家にとってみれば、自分が購入した銘柄が汚職事件に関連しないかどうか予測し難いため、銘柄選択の失敗を回避するべく、市場にエントリーしない投資家も存在する。加えて、中国本土は構造改革を深く実行する時期に突入しており、政治の先行きは予想外の変化をもたらす可能性が非常に高い。こうなれば海外に投資できる能力を持った投資家は、むしろ海外に資金を移すだろう。つまり、中国政府による汚職撲滅及び改革の実行はいずれも株式市場の資金細くを招く可能性が高い。汚職撲滅なのか、あるいは構造改革の実行なのかに関わらず、いずれも長期に渡る取り組みと言え、この2つの取り組みをもってA株に影響を与えることは容易ではないのだ。
A株の市場価値は安くなりつつあるが、株式市場がいつ本当に弱気を脱するのかは把握し難い。もしA株ETFの購入で長期投資を検討する場合、保有にかかるコストと機会コストの問題をまず考慮すべきとなる。
2014年1月13日
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