上海超日太陽のデフォルトで巨額負債企業に影響か
中国本土企業の太陽電池メーカー、上海超日太陽能科技が、社債利払いに十分な資金を調達できず、中国本土で取引される債券で初のデフォルト(債務不履行)に陥ったわけだが、一般的に上海超日太陽能科技のデフォルト問題は氷山の一角だと考えられている。金融改革を前に、今年の中国は金融逼迫の局面が続くと予想されていることから、企業の資金調達は困難になるだろう。それゆえに、今後さらに多くの債券がデフォルトに陥ってもおかしくない状況だ。上海超日のデフォルト問題発生後、中国政府は同社を救済せず自力で問題を解決させるとしており、「万事、中央政府のサポート」時代が過ぎ去り、企業及び投資家が自己責任を負う時代が始まった。李克強首相は過去に何度も経済の市場化について言及していることから、今回の政府の上海超日への対応はまさにその決意を反映しており、今後の改革を推し進める重要な一歩だと言える。
中国本土で初の債務不履行が発生したものの、市場ではまだ過度なマイナス面の動きは見られず、中国の5年物の「AA」格付け債の利回りは現時点で上昇どころか反対に低下している。事実上、上海超日のデフォルト問題は市場の警戒心を高める効果があったため、多くの投資家が危機の可能性に対応する意識を強めている。備えが進めば最終的に金融危機が勃発する可能性は低くなる。言い換えれば、上海超日のデフォルト問題が明らかになった事により、今後の巨額債務の危機が勃発する可能性を低下させる後押しとなるかもしれない。
とはいえ、投資家達は依然として今回のデフォルト問題がもたらす後遺症に関心を寄せている。デフォルト問題が発生し、今後社債発行の中断や棚上げをする企業が出現し、企業の成長が妨げられる可能性が出てくる。こういった情況が拡大すれば、経済全体に下方圧力となるだろう。初のデフォルトが起こったことにより、企業が今後債券を発行する際のコストは大きく上昇することになるはずだ。企業にとって当然好材料とはならず、負債比率が高めの企業ならなおさらだ。中国本土において、国内不動産、セメント、太陽光発電などはいずれも負債比率が高めの業界に属するため、負債比率が高い業界の経営環境が思わしくない状況で、上海超日のデフォルト問題がこれらの業界に与える影響は明らかだろう。
2014年3月12日
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