金融界の大物の動きから見極める
春節連休明けの初日、香港株式市場はご祝儀相場といかず、資金流出に対する懸念の悪化や、米中両国の景気指標が思わしくなかったことから下落傾向を見せている主な要因だ。米国株では、ダウ指数のサポートラインが15,700ポイントとなっているが、割り込んでしまえば次のサポートラインは14,700ポイント付近となろう。つまり、米国株はこの先さらに数百ポイントの下落幅を含んでいると見られ、世界の株式市場にとって、決して好材料とは言えない。そして香港株では、ハンセン指数が去年7月11日の窓開け上昇を残しているため、今回の下落傾向が窓を閉める動きとなって21,000ポイント付近の水準まで下落する可能性もある。しかし、前回の記事で言及したように、株式市場のこのトレンドが新興国市場からの資金流出を招いているため、株式相場のテクニカル分析よりも、香港ドル及び日本円の動きを見極める方がより確実である。
ここ連日、一般投資家から「今回の資金流出の波が金融危機を誘発する可能性は?」といった質問を受けているのだが、筆者の回答としては「金融界の大物がどのようなポートフォリオを組むかを見極めましょう」に尽きる。過去20年以上に渡って新興国の財政は大いに安定してきたため、金融危機の可能性は以前ほど高くない。しかし、深刻な危機が発生するか否かは多くの場合、市場心理が決定付けるため、ひとたび市場心理が堰を切ったように悪化となれば、危機発生の可能性が高まってくる。金融界の大物は恐慌操作が上手いため、彼らが一斉にいずれかの新興国通貨の売買を始めれば、関連通貨が止め処なく下落し、投資家心理は冷え切ってしまう。そうなれば、本来売却する気の無かった一般投資家までもが、株を手放し市場を去るだろう。
皆様、サブプライムローンによる金融危機勃発の初期段階をまだ覚えているだろうか。大部分の分析結果のいずれも米国に負担能力が有るとされていたが、最終的に未曽有の金融危機が勃発してしまった。その後、欧州で今なお未解決となっている債務危機も発生している。新興国市場からの資金流出の波が強まるに従い、「パーフェクトストーム」が引き起こされる可能性は否定できないのだ。
2014年2月4日
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