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‘失業率/Unemployment Rate’

貿易黒字の増加で高まる人民元切り上げ圧力

2014-08-13

中国7月対外輸出は前年比14.5%増と急成長し、市場予想の7.5%増を遥かに上回った。 しかし、輸入は1.6%減となり、市場予想を下回っている。輸出の拡大は周辺国経済の回復が続いていることが反映されており、輸入総額の減少は中国の対外需要がないことを表している。 過去数カ月、米・非農業部門雇用者数の増加は、月あたり20万人を上回っており、現地の労働市場の好転が継続し、米国が牽引し中国本土の輸出はこの先数カ月拡大を維持できる見通しだ。 最近では欧米とロシアの制裁の応酬が激しくなってきており関係が悪化するにつれ、冷戦時代の日本のように、ロシアおよび西側諸国は中国を中立国として選択してき中国産を輸入する可能性があるため、今後の中国本土の輸出セクターを下支えると見られる。 人民元切り上げ圧力必至 輸入面では、資本過剰経済の過剰在庫による制限を受けるため、この先数カ月の輸入指標で顕著な回復が見られることも無いだろう。 中国本土で原材料が過剰在庫として問題となっており、経済成長の近年のペースダウンが償却を先送りさせている。 過剰を改善させる前に、中国は基本的に外国から大量に原材料を輸入するべきでは無いだろう。 在庫要因のほか、中国では政治の汚職撲滅のため厳しい取締りを実施しており、改革を進めるなかで癒着体質のある企業の景気変動などが発生し、こうした要因も外国からの輸入に影響を及ぼすであろう。 この先数カ月に「強い輸出、弱い輸入」の貿易セクター見られ、「人民元切り上げでは、巨大な貿易黒字を維持すると」の圧力が高まるのは必然となる。 7月のインフレ率は6月と同様の2.3% インフレに関して、中国7月のインフレ率は6月と同じく2.3%なり、過去数カ月、中国本土は洪水や台風などの自然災害にみまわれておらず、仮に、現状を維持できれば、国内食品価格の安定維持が見込めるため、インフレ率全体に好影響を与えると見られる。 インフレ圧力が強まらない間に、中国人民銀行(中央銀行)による更なる金融緩和や、ひいては預金準備金率の引き下げを期待する声もある。 李克強首相は一貫して「時宜を得た穏やかな循環的微調整」による経済コントロールを強調しているため、たとえ国内にインフレ問題が再発しようと、人民銀行が全面的に預金準備金率を引き下げる可能性は低いだろう。 2014年8月13日

米利上げ時期は前倒しも

2014-06-25

米FRBは18日にFOMCを終え、資産購入プラグラムの規模を再度100億ドル縮小すると発表した。縮小ペースの推測から、FRBは今秋にも資産購入プログラムを終了する見込みだ。将来的に、マーケットの焦点は利上げ時期の確定へとシフトするだろう。記者会見やFOMC後の声明において、イエレン議長も利上げ時期について明示しておらず、いずれも、債券の購入プログラム終了後も金融緩和を一定期間継続する予定であると繰り返し説明している。現在、マーケットの大半の見解ではFRBが利上げ予定をやや遅らせるとの予想しているが、これに対し筆者は反対の見方がある。なぜなら、FRBが2015年における政策金利目標を上方修正しているためだ。FRBでは2015年末のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を1.13%としており、もし当局が利上げ時期を遅らせるつもりがあるならば、このような金利誘導目標の上方修正をする必要などないだろう。それゆえに、FRBが利上げ時期を遅らせる可能性については、マーケットの一方的な願望であると言えそうだ。 プライマリー・ディーラーPrimary Dealer FRBが金利誘導目標を引き上げた後には、その米国債プライマリー・ディーラー(Primary Dealer;債券取引商)が米金利予想を追随するか否かが注目されている。プライマリー・ディーラーは2015年の米金利予想を0.75%としており、この数字はFRBの最新の予測よりも明らかに低い。政府目標とかけ離れた事態を回避するため、プライマリー・ディーラーが金利予想を引き上げる可能性は非常に高い。ひとたび引き上げとなれば、米国債利回りが確実に上昇し、世界の株式市場がダメージを被る事になろう。 米国雇用統計Current Employment Statistics 米利上げ時期は、雇用市場の如何によって調整され、過去数カ月にわたり雇用市場は改善を続けており、非農業部門雇用者数では4カ月連続で20万人を上回っている。今後も非農業部門雇用者数が毎月平均20万人以上の増加を維持しさえすれば、来年中に利上げの可能性があろう。一方、米国が予想よりも早く利引上げに踏み切る可能性があるものの、利上げ幅はさほど大きくはならず、なぜなら、米国にはまだ大量の長期失業者や不完全雇用者が存在するため、現在の雇用市場の回復速度から推測すると、長期失業や不完全雇用の問題を解決するには、少なくともまた数年かかると見られ、現在の米国では利上げ幅を引上げる条件をクリアできていないと言えよう。 2014年6月25日

下半期は慎重な見方

2014-06-18

2014年もはやくも半分が過ぎようとしており過去5カ月あまりを振り返ってみると、香港株はほぼ横ばいでハンセン指数は大体21,000~23,000の間を推移している。株式市場では、もともと有望銘柄であったIT関連やカジノ関連銘柄が投資家から切捨てられ、弱含みが続いていた本土銀行銘柄や従来型産業銘柄に明らかな反発が見られる。下半期を間近に控え、香港株式市場の下半期の動きを予測してみよう。 香港株値動きの要素の中で、最も焦点となるのはやはり中国要因であろう。直近の中国政府は頻繁に政策の微調整を行い、中国経済が直面する問題の緩和を図っているが、その効果が現れるまでは経過観察が必要だ。もし今後の指標でも中国経済の下振れリスクが示される場合、中国・香港の株式市場がこの先突出したパフォーマンスを見せる可能性は低い。しかし、これは決して両エリアの株式市場が暴落する可能性を表しているわけではない。なぜなら中国本土で景気低迷が継続するときには、しばしば中国政府がより多くの経済安定化措置を打ち出す観測が市場に広がるため、この期待感が株式市場にサポートをもたらす可能性があるのだ。 中国のほか、香港株にとっては米国の要因も重要となる。予定通り、米FRB(連邦準備理事会)による資産購入プログラムは第4四半期に終了となるが、終了後は米国がいつ利上げに踏み切るかが市場の新たな焦点となろう。米労働市場では明らかな回復が続いており、非農業部門の就業者数は4カ月連続で20万人以上の増加となった。現状維持となれば、FRBが来年の第2四半期に利上げを行うであろう。米利上げ時期が明確となれば、香港の株式市場および世界の株式市場では、米利上げ懸念による調整基調となる可能性が浮上してくる。 最後に香港の要因だが、小売市場の減速が香港経済を押し下げており、失業率が上昇に転じると見られる。このほか、政治的紛争からくる社会的混乱も香港の株式投資に不確定要因を添えている。直近の様子では、中国本土と香港の人々との対立はますます激しさを増しており、悲観的情緒が株式市場を押し下げる可能性もある。 以上の要因は大部分が予測性に欠けるため、香港の株式市場は下半期も引き続き「見歩行歩(その都度判断を見直す)」といった慎重な動きになると予想。 2014年6月18日

米失業率による利上げは中港経済にとって悪材料

2014-05-05

4月の米国失業率は6.3%に低下、非農業部門就業者数(Nonfarm payroll employment)は前月比約28.8万人増と大幅な上昇となり、いずれの指標も市場予想を上回った。多くの人々が職を得たものの、長期失業者数も多い。一般的に、労働市場から長期に渡り職を得られない人はますます就業は難しいと言われており、米国は指標に反映しきれていない失業問題を抱えている可能性がある。今年初め、米国は深刻な寒波に見舞われ、経済活動に一定の影響を及ぼした。天候が安定するにつれ、経済活動も正常に回復したため、4月の非農業部門就業者数の大幅増の要因になったと見られる。指数が天候の影響を受けたかどうかに関わらず、28万人以上という雇用者数の増加は間違いなくインパクトとのある数値と言える。米雇用統計の発表後、米国会が利上げを早めるか否に市場の注目が集まっている。 イエレン氏が何度も表明しているように、米FRBは単に失業率データ如何で利上げ時期を決定する事はなく、長期失業の状況や、不完全雇用率、インフレ率などの局面からも要因を考慮するとしている。多くの米国人が長期にわたり職を得られず雇用市場から離脱しているため、失業率が6.3%に低下したものの、早期利上げに踏み切るにはまだ後押しが足りないと見られる。しかし、もし今後も非農業部門雇用者数が毎月20万人以上の増加となれば、FRBが早期利上げに踏み切る可能性が出てくるはずだ。なぜなら、徐々に多くの人々が職を得られるようになった際、個人の消費意欲が増加し、物価上昇圧力が生まれてくる。そこで物価の安定を確保するべく、FRBは早めの利上げに迫られるであろう。 香港ドルは米ドルペッグ制:リンクド為替相場制度による制限を受けるため、ひとたび米国が早期利上げとなれば、香港も追随して利上げとなる可能性が極めて高く、資産価値は否応無く圧力を受けよう。また香港だけではなく、中国本土も同様に圧力を受けることになる。ここ数カ月、人民元は続落傾向にあり、中国から資本が流出しつつある事が反映されている。もし米国の利上げ圧力が増せば、より多くの資本が中国本土から流出するであろう。中国本土の不動産市場ではすでに調整が見られ、加えて中国人民銀行(中央銀行)が再び金融引締め策を実施していることから、より多くの資金流出が上述の状況を悪化させている。中国・香港にとって、米国の早期利上げは確実に悪材料なのだ。 2014年5月5日

利上げ時期の事前示唆で市場の準備を促す

2014-03-24

FOMCを終え、イエレン米FRB議長は、今秋の債券購入プログラムの終了と6カ月後の政策金利引き上げを表明した。市場ではすでに今秋の債券購入プログラム終了に見通しがついていたため、より焦点となっていたのは米国の金利引き上げ時期であった。イエレン議長が初めて政策金利の方向性を言及したことで懸念の和らげたと見られる。イエレン氏が示した期間から推測すると、米国の政策金利は早くて来年の第2四半期に引き上げられる見通しとなった。「市場の相場予想のコントロール」はFRBの常套手段であり、現時点で金利引き上げ時期を表明することにより、市場心理に予め準備を促している。 金利引き上げ時期への注意を促す一方、イエレン氏は失業率基準を撤廃し、金利引き上げの決定基準は雇用統計にかかってくると見られる。すなわち、たとえ失業率が6.5%を下回ったとしても、その他の指標が雇用市場の弱含みをである限り、当局が金利引き上げに踏み切る可能性は低い。イエレン氏は米議会の公聴会において長期失業率が依然高い水準にあり、不完全雇用率が深刻な状況であると言及していることから、すでに雇用統計のなかで別のデータに着目していることが見て取れる。失業率基準を撤廃することで、FRBは政策実施の柔軟性をもとたせ、仮に雇用市場が理想的な状況になった場合、当局は予定通り引き締め政策に踏み切るが、そうでなければ量的緩和策を維持することになるであろう。同時にイエレン氏は、金融当局が債券購入プログラム終了時点の6カ月後に金利を引き上げる可能性を示唆している事から、米労働市場を楽観視していると見られる。 米国にとってみれば、来年第2四半期の利上げは好材料となり、利上げが可能となることで米国経済の理想的な成長であると評価できる。一方で、新興国市場は、更なる資金流出の脅威に直面することになろう。昨年から、資金は続々と新興国市場から米国へと流れており、米国の利上げの可能性が高まるにつれ、資金流出の速度はより一層加速すると見られる。イエレン氏による利上げ時期の事前示唆によって、新興国市場にダメージ抑える対策を促す機会が見込めるであろう。 2014年3月24日

米国はQE期間、終始有利な立場

2014-02-11

就任したばかりのイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が公聴会に出席し、「米国の労働市場は完全な回復から程遠い」としながらも、改めて緩和策縮小を段階的に実施することを表明した。最近発表された失業率が6.6%に低下したため、FRBが緩和策縮小ペースを加速するのではといった声もあったが、イエレン議長の議会証言はこういった市場の懸念を和らげた。米国の失業率の低下は、実際ほとんどが労働人口の減少によるもので、米国では今なお多くの人々が長期にわたり失業しており、雇用者数の伸びも深刻だ。上述の状況が改善されるまでは、FRBが単純に失業率の低下だけで量的緩和(QE)縮小のペースを加速させる可能性は低いと見られ、政策金利引上げも然りだ。 量的金融緩和政策の実施から現在の撤退の実施に至るまで、一番の勝利者は米国となる。政策実施の初期段階を振り返ってみると、数多くの分析結果でこの金融政策は米国経済の助けとならず、更に長期的で悪性のインフレをもたらすと見ていた。数年経ってみると、米国の労働市場は継続的に改善し、悪質なインフレも起こることなく、米国株は最高値更新を繰り返したことから、FRBによる非常事態への対処法が正しかったことが反映している。欧州や日本の中央銀行も米国と同様に無制限の量的金融緩和を実施しているが、結果を出せるか否かはまだしばらく様子見が続く。 FRBによる量的緩和の縮小開始前には、米国債利回りの上昇懸念から、米国の経済回復が阻害するのはとする懸念の声もあった。米国にとって都合よく、FRBが量的緩和縮小に踏み切るとしたところ、大量の資金が新興国市場から米国へと逆流をはじめ、この流入資金がFRBの債券の購入規模縮小に伴う市場の資金不足を補うだけでなく、同時に国債金利をも低く抑えられていることに成功している。現時点で、米国の国債金利は緩和策縮小の前よりも低水準に推移しており、緩和策撤退が米国の重石になるという予想は明らかに見られない。当然、引き続き量的緩和が縮小され、最終的にどのようにランディングするかは知りようもないが、少なくとも現在のところ、FRBは量的緩和策の縮小というこのゲームで有利な立場に立っていると言えよう。対照的に、都合の悪い新興国市場では資金が流出し、通貨及び資産価格の下落の脅威に直面している。 2014年2月11日

米国経済指標は善し悪し半々

2014-01-23

毎月第一金曜日に発表される米国非農業部門雇用者数(NFP:Non-Farm Payrolls)は、米労働市場を評価する最も重要な指標の一つです。今月(1月10日)発表のデータによりますと、米国は12月に非農業の新たな就業人数がわずか7.4万人増となり、予想の19.6万人を大きく下回りました。ここ3年来となる最小の上昇幅となったため、米労働力市場に対する先行き不安の再燃を引き起こしてしまいました。異常気象が主な要因として挙げられるでしょう。米国の大部分のエリアが20年ぶりの大寒波に見舞われ、交通や電力供給が深刻な被害を受けたことで、大量の就業希望者が寒波を避けるべく職探しを中断したと見られます。つまり、非農業部門雇用者数の減速は短期的な現象であると見られ、それ以上の意味を表してはいません。この先次第に気候が穏やかになり正常な生活になれば、労働市場は活力を取り戻すと見られることから、この先数カ月間のデータが非常に重要となります。 本来は落ち着きを見せていた市場もさすがに雇用統計の発表後に大きめの変動が見られ、ドルインデックスは大幅下落し、国債利回り及び金価格は上昇、ダウ指数は翌月曜日(1月13日)に暴落となりました。このことから、マーケットが就業状況の低迷をQE縮小進捗の懸念材料と見なしていることが明らかになりました。米国がいつQE縮小に踏み切るのかが2013年で最も重要な焦点であったことから、2014年の焦点は縮小スピードの加速度に焦点が当てられるでしょう。もし米国経済に継続した回復が見られない場合、QE撤退のペースは減速するか一時停止に至る可能性もあり、相反して加速する可能性も確か有りますが。今回の非農業部門雇用者数のデータによる株式市場の下落はおそらく前者の状況でしょう。しかし実際には、経済の回復状況はその他の様々な指標も合わせて判断するべきであり、非農業部門雇用者数のデータはその中のたった1つに過ぎないのです。 非農業部門雇用者数に失望した投資家も多いでしょう。しかし今月はその他にも好調な経済指標が発表されました。米12月の小売売上高は、自動車などを除いたコアベースの売上高で0.7%増と、予想を上回ってここ10カ月で最大の増加率となり、消費がある程度回復していることが表れています。加えて、失業率は6.7%へ低下、5年来の最低水準となり、米FRBの掲げる目標値6.5%の金利引き上げ条件に近づいています。これらのデータは、就業状況に好転が見られなくても、全体的な景気回復も同時に継続していることから、非農業部門雇用者数のの不調だけで状況が大きく変わることはありません。そのため、この先QE縮小ペースが大きく変化する可能性は低く見積もられ、今後も毎月100億ドルの縮小ペースで実行される見込みです。市場が指数発表による材料を消化後、株式市場や債券及びドル指数はじきに落ち着くと見られ、米国経済回復の先行きは今後も楽観視できるでしょう。

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