‘Singapore/シンガポール’
シンガポール株式市場は香港のポジションは揺るがずか
CSRC(中国証券監督管理委員会)が中国国有企業のシンガポール株式市場への上場を許可したことを受け、香港証券取引所(00388)での取引量がシンガポール市場へ流出するのではと指摘する報道が見られる。中国の長期発展の観点から見れば、営利企業の海外での上場は当然許可されるべきである。これによって資金調達の範囲の拡大が後押しされ、企業に大きなサポートとなれば事業拡大の可能性も広がる。このほか、近年A株が低迷し、IPO(新規株式公開)の動きもほぼ中断していることから、承認待ちIPOの案件が増え続けている。現在の市況から、IPO再開がA株相場のプレッシャーとなる可能性が懸念されているものの、いつまでもIPOを再開しなければ企業の発展に悪影響を与えてしまう。両者間のバランスを取るためにも、中国本土企業に一つでも多くの上場ステージを提供することは良い手段だと言えよう。 香港証券取引所にとって、CSRCの決定は競争力を増加させる事になろう。しかし影響の程度は今後時間をかけて観察しなければならない。CSRCによる中国国有企業のシンガポール上場許可と、中国国有企業が実際にシンガポールに上場するか否かはまた別の問題で、上場ステージの候補が増えたとしても、中国企業が地理的優位のある香港を上場の第一候補から外してしまうわけでは無い。企業が上場する目的は資金調達であることから、資金調達がどれ程の規模となるのかは、株式募集企業を投資家がどれだけ興味を持つか否かによって左右される。香港の投資家の方がシンガポールの投資家よりも中国企業に対する関心が高いことから、より高い資金収集の成果を得るべく、中国企業がこの先も香港を上場の第一候補とする可能性は大いにあるのだ。 このほか、シンガポールの株式市場の流動性は香港株式市場に遠く及ばず、流動性不足が資金調達の成果に影響を及ぼしている。このため流動性不足の問題が改善されるまで、中国企業がシンガポールでの上場にさほど大きな関心を持たない可能性が高い。確かにシンガポールはすぐに香港証券取引所の脅威となる存在とはならないが、長期的に言って、香港証券取引所は必ず新たな金融商品の開拓及び業務の拡大を継続し競争力を強化しなければならない。さもなくば、たとえシンガポールの証券取引所に商いを全て奪われる可能性が無くとも、この先他の取引所が香港証券取引所の脅威となる可能性もあるのだ。 2014年1月3日