Home » タグ一覧 »記事一覧

‘PMI/製造業購買担当者景気指数’

短期的に微調整と安定化対策で下支え

2014-09-29

HSBC発表の中国の9月製造業PMIは初期値が50.5へ上昇し、市場予想を上回った。多くの指標で改善が見られたものの、生産、雇用統計では依然として経済への下方圧力がかかっていることが表れている。9月の生産指数は51.8と報じられており、前月からの低水準が続く。雇用指数は11カ月連続で低下し、46.9となっている。製造業データのほか、最近発表された物価、輸入、不動産市場などのデータでも中国経済の下振れリスクが存在する。 数カ月前に、中国政府は多くの微調整や安定化対策を行った。その結果一旦は、経済が好転するかのように思われたものの、残念ながら短期的な好転にとどまり現在は下落傾向となる。つまり、現状の中国の困難な局面を解決できなかったことが反映されているといえる。中国本土経済は、実際、構造的問題に覆われており、単なる微調整や安定化対策に頼っていても、構造問題を根本的に解決することは不可能であるため、改革によってのみ中国経済の活路となろう。しかし、膿を出す改革には時間を要する上に複雑な道のりとなるため、中国本土経済が短期間で弱含みから脱出する可能性に期待するのは現実的ではないだろう。 今年の成長目標は諦めモード ある報道では、中国政府はすでに今年の成長目標を諦めており、改革の内容に焦点を当てている。いったん本当に成長目標を政府が放棄していると判断した場合、市場は政府が二度と経済対策を講じないのはないかと失望することになる。 これまでに李克強首相は、経済成長が目標よりも僅かに高いもしくは低いとしても許容できるしており、この言い回しは、政府が経済成長の数値目標達成にそれ程こだわっていないことを意味している。ここから推測するに、中国政府が成長目標を放棄している可能性は有る。しかし、成長目標の放棄が刺激対策を以後、打ち出さないということではなく、微調整や安定措置では構造問題を解決することはできないが、安定化対策は、短期経済のパフォーマンスの方で依然として効果がある。改革による明確な効果を得る前に、政府は引き続き微調整や安定化対策に頼って経済を下支える可能性は大いに有り、鉄道の拡大やインフラ建設の投資なども刺激策の重要ポイントとなろう。 四中全会(中国共産党第18期中央委員会第4回全体会議)を10月に控え、会議の開催期間やその前後に政策が発表される可能性があろう。 2014年9月25日

経済安定対策に一定の成果

2014-07-25

7月のHSBC中国製造業PMIの速報値は52で、市場予想の51を上回り、18カ月ぶりの高水準となった。中国政府が少し前から取り組んできた経済措置への微調整が、経済安定化に繋がっていることが反映されている。しかし、中国本土は他にもあらゆる改革を進行させているため、経済先行きは決して明るいとは言えない。長期的安定成長及び雇用保持の為、中国政府が今後も多くの微調整を実施し経済を下支える可能性は大きい。 中小企業の融資に力を注ぐ 李克強首相は、本土内の銀行が大企業だけを対象としたビジネスを行い、中小企業への融資が非常に困難となっている事を批判しており、この発言から中国政府が銀行に対し、中小企業の財務需要解決に向けた協力を懸命に促していることが伺える。中国政府の協力を受け、中小企業の経営環境は改善が見込めるため、中小企業経営状況のHSBC製造業PMIは、今後も向上する可能性が反映されている。 デフォルト問題は終焉に 年明けから多くの投資家が相次ぐデフォルト問題の勃発を懸念しており、5~9月はハイリスク期にあたる。まだハイリスク期を脱していないものの、5月から現在にかけて、中国本土でのデフォルト問題の勃発は今のところ見られておらず、この成果は中国政府当局が適切な時期に各措置を打出せている事が大いに影響していると言えよう。中国経済は徐々に安定が見られ、加えて中国人民銀行(中央銀行)による「放水」(金融緩和)や、政府がしっかりと市場発展を見守っている事から、年明け当初よりもデフォルト問題が起こる可能性は下がりつつある。近日では、建設会社の華通路橋集団がデフォルトを回避しており、現状として債務問題を抑制できていると見て良いだろう。 2014年7月25日

中国の株式市場が4日続伸

2014-07-04

中国の株式市場が3日4営業日連続で取引を終えた。 この日発表された経済指標が概ね良好であったことが原因と分析される。 上海総合指数(SSEC)は0.19%高の2063.23(前日比+3.81)。上海/深センCSI300指数は0.4%上昇した。 中国国家統計局が集計した6月の非製造業(サービス業)購買担当者指数(PMI)が55.0を記録し、これは、6ヶ月間で最高だった5月の55.5から小幅下落となっているが依然として高い水準である。 6月HSBCサービス業PMIは53.1を記録し、前月より2.4ポイント上昇し、これは15カ月ぶりの最高値となる。製造業とサービス業を合わせた同月のHSBC複合PMIは5月の50.2より2.2ポイント上昇した。 安徽海螺水泥(コンチセメント)は、売上高の増加と価格の上昇に支えられ、好調が予想されると発表、その後株価が4.7%上昇し非鉄金属類の株価も同時に上昇した。 一方、香港のハンセン指数(HSI)は戦場比0.1%下げた23531.44ポイントで取引を終了している。

「老鼠倉」取締りでA株へ影響か

2014-05-26

HSBCが発表した5月の中国製造業PMI(購買担当者景気指数)速報値は49.7に上昇し、ここ5カ月の最高値となった。中でも新規輸出受注指数のほか、新規受注や生産高の指数で、いずれも50以上を上回り、国内外の需要がある程度増加していることが反映されている。製造業のデータが好転したものの、その要因は周期的なものである可能性が高いため、現段階で中国経済が底打ちになったと看做すにはまだ早いと言える。 経済成長が減速する際、内需が弱化し、在庫処理による影響を受け、製造業が一時縮小してしまうのは正常な現象だ。在庫が一定水準まで減少すれば、企業は在庫の補充を開始し、弱化していた製造業の好転へと繋がる。このためもし5月のPMI指数の上昇が、企業の在庫補充によるものだとすると、ある程度の在庫量を回復した後に、製造業は新たな縮小の流れとなるはずだ。つまり、中国経済が底打ちとなったか否かを判断し確定するには、単に1、2回のPMIデータを見るだけでは十分ではないということだ。 データを詳しく見てみると、雇用データが一層悪くなっており、製造業の指数の好転にも関わらず、雇用状況が今なお悪化していることが見てとれる。当然、雇用市場は長期間停滞していることから、この先月数カ月間のデータが特に重要となろう。もしこの先の製造業PMIデータの好転にもかからず引き続き雇用市場の改善が見られなかった場合、中国経済が本当の意味で減速から脱するのは難しくなるだろう。李克強首相は、雇用促進を何度も強調しており、雇用促進には経済の底上げが必要となるため、中国人民銀行(中央銀行)は市場への資金注入を実施し、目下の景気の下方圧力の緩和を図っている。 HSBCのPMI指数が好転し、中央銀行による資金注入も見られる中、A株にはまだ大きな動きも見られない。投資マインドが今なお慎重である理由は、中国内で「老鼠倉」(ラオシューツァン:金融取引関係者による短期利鞘を狙う不正取引)の取り締まりが強化されている事と関係がありそうだ。長期的角度から見れば、「老鼠倉」の動きを一掃することは、A株の市場からの信用を取り戻し、投資家マインドの回復にとっても一定の効果があろう。しかし、取り締まりが行われる過程で、この先「老鼠倉」の取引に関連する人の資金が、短期取引によるサヤ取りから距離をとると見られ、A株相場の重石となる可能性が有る。 2014年5月26日

1月は世界の株式市場が下落

2014-02-13

量的金融緩和策が推し進められる状況下で、2013年の先進国株式は大幅上昇を経験しました。しかし、この上昇の勢いは続かず、今年1月には世界で大部分の先進国株式市場が大きく揺れ、おしなべて下落に転じてしまいました。 この調整基調は1月中旬から始まり、日本の株式市場の下落幅がやや大きく10%以上に、米国と欧州の株式市場でも5%の下落、香港の株式市場の下落幅は6%近くに、そして新興国市場でも2013年からの退勢が尾を引いて下落を続けています。株式市場に調整リスクが見られる状況下で、投資家たちは再びリスク回避へ注目しています。リスク回避先として注目される金先物相場では昨年末に1オンス1,200ドルを突破した後も上昇が続き、1300ドル近くまで上昇しています。また、米10年物国債利回りでは3%から2.6%へ下落しています。 世界同時株安の原因は、突き詰めると経済の先行きに対する市場の懸念によるものです。年明けに発表された米経済指標では、住宅着工件数は大幅に9.8%減となり、新築住宅販売件数は市場予想を下回りました。また、耐久財受注が4.3%減、ISM製造業景況指数が51.3に低下、非農業部門雇用者数も予想を下回りました。各経済指標の弱含みが顕著となり、米国の住宅市場や労働市場及び製造業全体の回復ペースの鈍化が見てとれます。中国では、HSBC発表の中国製造業PMIが景気判断の目安となる50を下回っており、中国政府発表の製造業及び非製造業PMIも下落が続いています。世界の2大経済大国である米国と中国において経済指標が悪化したことで、市場では実際の回復スピードが予想を下回っている現状を突如として認識させられました。米国が量的緩和縮小をすすめる状況下では、実体経済の回復なくして株式市場の継続した下支えは不可能です。つまり、今回の株式市場の下落は、市場の先行き懸念が招いた調整基調であり、理性的な反応であると言えるでしょう。 2月に入り、株式市場は調整を消化し、徐々に落ち着き反発しつつありますが、これは、今回の市場の先行き懸念が招いた調整がほぼ終息し、経済情勢の変動リスクがゆっくりと消化されていることを物語っています。また、市場心理も改善し始めています。2月11日、FRB(米連邦準備理事会)のイエレン議長は就任後初となる議会証言の中で低金利環境を堅持する姿勢を示しました。また、量的金融緩和(QE)の縮小ペースには確定した予定がある訳では無く、経済成長と労働市場の情況から判断し調整すると強調しています。イエレン議長は現在の労働市場を依然不安定だと見ているものの、これまでの金融政策を維持するとしています。イエレン議長の議会証言から大きなサプライズは見られませんでしたが、経済が悪化していない事は十分に表明され、市場の信頼を後押ししました。中国でも、最新貿易統計の増加が好調で、世界の株式市場に新たな牽引力をもたらしています。 2013年2月13日

Twitterボタン

Copyright(c) 2014 投資.com.hk All Rights Reserved.