‘IPO/新規株式公開’
オイルショックの再来か-世界の株価為替先物チャート
(BRENT ブレント原油) 市場更新:原油の生産及び輸出は深刻な影響を与えるイラク内戦が瞬く間に原油生産国に広がり、世界の供給にダメージが及んでいる。ブレント原油価格がじわじわ上昇し114ドル台の高値圏に。テクニカル分析上、今年に入ってから何度も110ドル付近でレジスタンスがあったが、今回は前回の高値を突破し、さらなる上昇トレンドを確立。この先イラク情勢がエスカレートすれば、パレスチナの問題が解決していない中東のその他の国々を巻き込んだ宗教・民族紛争が勃発し、石油の輸出停止が懸念される。結果、原油価格が上昇を続け、最悪オイルショックが世界経済へマイナス影響を与えるであろう。 (SPX スタンダード&プアーズ500指数) 市場更新:引き続き債券買い入れ額の毎月100億ドル縮小をFOMC(連邦公開市場委員会)は決定。同時に米国経済が回復中であるとし、低金利環境を長期で維持すると発表。市場では早期利上げへの懸念が緩和され、米国株は先週の小幅下落の後に反発、小型銘柄が好調に。S&P500指数は再び1,956まで上昇し最高値更新。しかし、まだ出来高不振のため要注意である。RSI(相対力指数)ではトレンドの弱化が見られ、今後頭打ちし反落すると見られる。 (SSEC 上海総合指数) 市場更新:約5カ月の期間を隔て、新規株式公開(IPO)の再開となる。7銘柄が続々と新規上場となるが、市場全体の資金面にとっては既存株の希薄化による下押し圧力と成る。中国人民銀行(中央銀行)による量的緩和策が上海総合指数を刺激し、移動平均線をいくつも上方突破するが長続きせず、IPO再開の下押し圧力から2,050ポイント付近まで下落した。最近では李克強首相が訪英し、貿易協定や、中国人民元と英ポンドの直接取引の合意をとりつけた。人民元国際化の加速によって、長期にわたり中国資本市場の開放にとってプラスの影響をもたらすだろう。 2014年6月20日
IT関連株低迷も、間もなくアリババ上場-世界の株価為替先物チャート
(COMPQ ナスダック総合指数) 市場更新:先週米FRBは現行の量的緩和縮小ペースの継続を決定、就業及び製造業のデータはいずれも米国経済が持続的に回復している事を示している。しかし7日に再びIT株の投売りが見られ、主要指数のトレンドは明暗を分けた。ナスダック指数は6日に1.38%の下落後0.32%の続落、中でも中国関連銘柄が軒並み下落し、株価低迷となっている。6日にアリババは正式にIPO(新規株式公開)申請書類を提出し、総額10億ドル規模の調達を目指すとしている。最終的に調達額が新記録となる200億ドルに達すると予想されているものの、今のところ市場の反応は比較的冷静である。電子商取引の世界最大手として、アリババのIPOは注目を集めており、IPO実施後に再び市場に刺激効果をもたらすと見られる。 (GOLD 金相場) 市場更新:5日にウクライナ軍部隊は「反テロ作戦」を拡大し、親ロ派との衝突で数十人が死傷している。ウクライナ情勢がリスク回避の情緒を高まらせ、金相場は続伸。7日にプーチン大統領が、ウクライナとの国境地帯から軍を撤収させ、軍事行動停止を呼びかけたと表明。ウクライナ問題解決の糸口が見られたことで、緊迫した局面も緩和され、金価格は1オンス=1,300ドル以下に下落した。テクニカル面では、20日・50日・100日移動平均線が接近しており、上昇圧力を形成しつつあり、この先一歩通行の相場になると見られるものの、経済回復及びウクライナ問題の解決が金価格をさらに下げ足を速めるであろう。 (HSI 香港ハンセン指数) 市場更新:米国株の影響を受け、香港に上場のIT関連銘柄も投げ売りの動きが見られる。中でも騰訊控股(テンセント/0700)は470ポイントの水準に下落し、今年に入ってからの上昇幅を拭い去った。中国本土の不動産市場も冷え込んでおり、中国本土の不動産関連銘柄は大幅下落し、香港株の重石となっている。このほか、銀聨(ユニオンペイ)が、マカオでの違法なカード支払いを取り締まるための措置を発表し、カジノ関連銘柄が下落。各方面からの圧力を受けハンセン指数は続落、22,000の重要ポイントを割り込み、この先22,000以下で推移する可能性が高い。 2014年5月9日
米国企業業績が予想を上回り好調世界の株価為替先物チャート
(SPX スタンダード&プアーズ500指数) 市場更新:米上場企業は相次いで第1四半期の業績を発表。集計するとS&P500指数の構成銘柄の中で、68%の企業が予想利益を上回り、加えて医療業界のM&A(企業の合併・買収)の動きが報じられ、市場の投資意欲を大いに刺激し、S&P500指数は6営業日続伸で1,880ポイントに接近した。その後23日に発表された最新の米国製造業PMI及び新築住宅販売件数がいずれも予想を下回ってしまったため、市場マインドが冷え込み、0.22%の小幅安へ、続伸は6日止まりとなった。しかし大引け後、IT大手企業のアップルとFacebookの業績発表で、成長ペースが維持されていることが確認されたことを受け、指数の時間外取引で大幅に上昇した。 (USDCNY 人民元) 市場更新:中国第1四半期のGDP成長率は7.4%に減速、市場予想の7.3%を上回ったものの、中国経済の下降圧力は依然として大きい。将来的に貨幣政策として量的緩和が実施されると見られており、人民元相場は下降局面を脱せず1ドル=6.24元へ下落、18カ月ぶりの最低水準に。人民元安の流れは中国企業の輸出面でメリットが有り、経済成長の安定にとって有る程度の後押しとなろう。 (SSEC 上海総合指数) 市場更新:先週発表された「滬港通」の材料が徐々に消化され、上海総合指数は下降基調に。今週、中国証券監督管理委員会は新規株式公開(IPO)を予定している企業の仮目論見書を相次いで発表、4カ月間中断しているIPOが近い将来再開する気配を示しており、新たなIPO銘柄が資金を吸収する可能性が懸念され、指数の重しとなり続落し50日移動平均線のサポート水準を割り込んだ。政策面では、中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率の引下げ実施を決定したことから、量的緩和政策のシグナルであると見なされている。しかしその規模は比較的小さく、株式市場の動きが刺激を受ける可能性は低い。 2014年4月25日
シンガポール株式市場は香港のポジションは揺るがずか
CSRC(中国証券監督管理委員会)が中国国有企業のシンガポール株式市場への上場を許可したことを受け、香港証券取引所(00388)での取引量がシンガポール市場へ流出するのではと指摘する報道が見られる。中国の長期発展の観点から見れば、営利企業の海外での上場は当然許可されるべきである。これによって資金調達の範囲の拡大が後押しされ、企業に大きなサポートとなれば事業拡大の可能性も広がる。このほか、近年A株が低迷し、IPO(新規株式公開)の動きもほぼ中断していることから、承認待ちIPOの案件が増え続けている。現在の市況から、IPO再開がA株相場のプレッシャーとなる可能性が懸念されているものの、いつまでもIPOを再開しなければ企業の発展に悪影響を与えてしまう。両者間のバランスを取るためにも、中国本土企業に一つでも多くの上場ステージを提供することは良い手段だと言えよう。 香港証券取引所にとって、CSRCの決定は競争力を増加させる事になろう。しかし影響の程度は今後時間をかけて観察しなければならない。CSRCによる中国国有企業のシンガポール上場許可と、中国国有企業が実際にシンガポールに上場するか否かはまた別の問題で、上場ステージの候補が増えたとしても、中国企業が地理的優位のある香港を上場の第一候補から外してしまうわけでは無い。企業が上場する目的は資金調達であることから、資金調達がどれ程の規模となるのかは、株式募集企業を投資家がどれだけ興味を持つか否かによって左右される。香港の投資家の方がシンガポールの投資家よりも中国企業に対する関心が高いことから、より高い資金収集の成果を得るべく、中国企業がこの先も香港を上場の第一候補とする可能性は大いにあるのだ。 このほか、シンガポールの株式市場の流動性は香港株式市場に遠く及ばず、流動性不足が資金調達の成果に影響を及ぼしている。このため流動性不足の問題が改善されるまで、中国企業がシンガポールでの上場にさほど大きな関心を持たない可能性が高い。確かにシンガポールはすぐに香港証券取引所の脅威となる存在とはならないが、長期的に言って、香港証券取引所は必ず新たな金融商品の開拓及び業務の拡大を継続し競争力を強化しなければならない。さもなくば、たとえシンガポールの証券取引所に商いを全て奪われる可能性が無くとも、この先他の取引所が香港証券取引所の脅威となる可能性もあるのだ。 2014年1月3日