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‘ECB/欧州中央銀行’

アメリカ株式市場の見通しは楽観的か

2014-10-29

ここ数週間にわたり、世界の金融市場は急激に変動している。株式市場の相場はまるでジェットコースターのようで、世界経済の先行き懸念が各主要市場の大幅な上下変動を引き起こした主要因となっている。米国株を見ると、ダウ指数は16,000ポイントを下回ったものの、ここ数日でほとんどの下落幅を回復している。欧州や日本、中国の経済状況はいまひとつで、米国経済の足かせになっているとも言えるため、これを受けて株式市場が調整基調となるのも理解できる。しかし、米国の経済情勢はその他の主要な経済体系と比較してより理想的であり、投資先行きで論ずれば、依然として米国株は比較的好ましい投資選択である。米国株における急落後の迅速な反発から見て、投資家は米国株に対し今なお楽観視を維持している。 欧州は銀行ストレステスト(健全性審査)の結果、25行が不合格となり、その内10行が資本増強を要すると発表しており、今なお欧州債務問題が金融業界に影響を及ぼしている状況が反映されている。今年に入ってから、欧州経済は段階的に下落しており、失業率の高さやデフレ圧力の激化が経済苦境を脱却できない致命傷となっている。経済圧力を緩和するため、ECB(欧州中央銀行)は最近再び措置を打ち出しているものの、この関連措置が欧州を低迷から脱却させられるか否かは疑わしい。欧州の先行きは楽観とは言い難く、このため新たな措置により生み出された資金は欧州から流出し、先行きの明るい市場への投資へ回されてしまう可能性が非常に高い。主に米国がこの恩恵を受ける事となろう。また、そうなれば同様の状況が日本及び中国でも発生すると見られる。 昨年末より、米国はすでに量的緩和の収束へと舵を切っているが、相反して欧日中等の国々では依然として量的緩和による景気刺激を続けている。トレードオフの動きから、資金の米国流入が大局となるのは時間の問題で、流入スピード及びその規模がどの程になるのかは、米利上げペースに左右されるだろう。現在、市場は来年の米利上げを確実視しているものの、正確なスケジュールは予想できていない。世界経済の先行きへの懸念が高まるにつれ、米国が利上げ時期を遅らせる可能性を否めない。 2014年10月29日

マイナス金利政策も金融市場の刺激に疑問

2014-06-09

市場の予想通り、ECB(欧州中央銀行)はマイナス金利政策の実施に踏み切った。加えて大規模な量的緩和を行うとし、手始めの規模は4,000億ユーロになると見られる。ECBによる今回の動きには二つの狙いがある。第一に、ユーロ圏経済のデフレ回避。そして第二に、銀行から域内企業への銀行融資の促進だ。過去数年に渡り、欧州経済は債務問題による深刻なダメージを受け、物価も経済下落と共に低水準を推移してきた。昨年から底打ちの兆しを見せているものの、未だ物価上昇が見られず、ユーロ圏のインフレ率は長期にわたり1%未満となっている。事実上、インフレ率1%未満というのはマイナスに陥っている状態と大差ない。大雑把に言ってしまえば、ユーロ圏はすでにデフレに陥っているのだ。 経済がデフレという困難な局面から脱する為に、中央銀行は常々量的金融緩和策を採択してきた。もしこの先もユーロ圏の物価に動きが見られない場合、ECBが更に政策金利を引き下げ、大規模な量的緩和政策を実施する可能性は非常に高い。現在、ユーロ圏の失業率は非常に高い水準が続いており、多くの労働者が職を得られない状況下で物価上昇を試みるは口で言うほど容易ではない。それゆえ、大規模な量的緩和策の実施に加えて、景気刺激対策を打ち出すことも非常に重要となろう。しかし、各国の財政難がネックとなり、現段階で欧州PIIGS5カ国は大規模な雇用対策を行う財源はないに等しい。PIIGS各国の財政状況が好転するまで、デフレ回避の責任は主にECBの役目となろう。 銀行融資を促進するのは、マイナス金利政策の目的の1つであるが、銀行の融資姿勢が必ずしも中央銀行の政策を受けて変化するとは限らない。銀行が融資を行うか否かは景気動向及び借入需要に左右される。もし経済が活発化し借入需要が高まれば、銀行が資金を中央銀行に預けておくことはないだろう。銀行がひたすら資金を中央銀行に預けているのは、ユーロ圏における借入需要が非常に弱々しいことを物語っており、借入需要が増えない限り、マイナス金利政策がもたらす効果は、銀行が準備金の余剰を取り崩すにとどまるであろう。 2014年6月9日

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